介護福祉士・坂野介護福祉士・坂野

EPA(経済連携協定)によって、インドネシア・フィリピン・ベトナムそれぞれの国から日本へ外国人介護福祉士看護師候補者の受け入れが始まっています。

インドネシアは平成20年度から、フィリピンは平成21年度から、ベトナムは平成26年度からです。

ここではEPA介護福祉士に注目し、すでに候補生を受け入れ、合格者が出ている施設の状況等もご紹介します。

受け入れ年度と人数の例

外国人介護士

【医療法人健和会】インドネシアから2008年2名、2010年2名、2015年2名受け入れ。フィリピンから2011年4名、2012年1名、2013年1名、2014年1名、2015年1名、ベトナムから2015年2名

【社会福祉法人清峰会】フィリピンから2009年2名、2010年2名、2014年6名 ベトナムから2016年4名

【社会福祉法人天神会】インドネシアから2012年4名、2013年20名、2014年5名、2015年10名入れ 2013年20名、2014年5名、2015年10名

 

以上3例を挙げてみましたが、年々受け入れ人数は増える傾向にあり、また受け入れ国を増やす法人も見られます。

 

介護福祉士候補生として受け入れ、仕事をしながら資格取得を目指します。

 

合格結果は、受け入れ当初の2008年度には不合格者が多かったものの、2011年度には全員合格の法人も出ています。

 

受け入れの目的とその結果

各法人からの受け入れ目的は、第一に「将来の人材不足への懸念」が挙げられています。

 

厚生労働省の調べでは2025年度時点で介護職員は100万人不足する言われており、これはかなり深刻な問題です。

 

ここで外国からの介護士候補生を受け入れ、介護業界をフォローしていこうという試みですが、現在のところ日常会話に困らない状況での受け入れができ、即戦力となったと答える声も多くあります。

 

第二に「職場の活性化」が挙げられています。

 

受け入れ後の変化として、職員・利用者へのよい刺激となり、職員の協調性が向上したとの声があります。

 

またそれに伴って人材育成システムの見直しが行われ、活性化だけでなく職場自体の研修システムも向上しました。

 

第三は「国際貢献と交流」が挙げられています。

 

これは私含め、まだ外国人介護士さんと一緒に仕事をしていない場合はあまりピンと来ないかもしれませんが、アジアでの日本の立場から考えると、貢献・交流の意味から受け入れる義務もあるでしょう。

 

義務だけでなく、実際にこういった国際交流を通してお互いの文化や習慣の違いなどで視野が広がったり、新しい派遣に繋がるなど、やはり職場の活性化には一役買っているようです。

 

課題と現状

受け入れ後の課題として「受入施設の経済的負担が大きいこと」がありました。

 

国際厚生事業団からは、通信添削指導、学習教材等の配布などの支援があり、国(東京都の場合)からは受け入れ施設研修費補助金として一人当たり100万円が支援されています。

 

それで十分かどうかは、その取り組み状況にもよるかもしれませんね。

 

国家試験合格のハードルの高さ

外国人が日本の資格を取るために国家試験を受ける。

 

ただでさえ難しい試験なのに、言葉も文化も違う人たちが受けるとなると相当難しい気がします。

 

これについては、母国での看護師資格取得者や母国での半年の日本語研修、日本語能力検定の合格者に限るなどの条件のもとでの受け入れが始まり、また日本でのさらなる日本語教育の成果もあり、受験者全員が合格する結果も出ていますので、そのハードルは低くなっていると考えられます。

 

また、「EPA介護福祉士」の試験では以下のような特例があります。

 

・筆記の試験時間(210分)が1.5倍に延長される

・漢字にふりがなが付記された問題用紙で筆記試験を実施

(難解漢字には、ふりがな付記や疾病名等への英語の併記等もあり)

 

日本語の母国語話者でない人たちが日本語で受験することを考えれば、こういった特例は許容範囲だと思われます。

 

また、就職後もある程度の期間は業務連絡の方法や記録にかかる時間への配慮等あってもよいのではないでしょうか

 

日本で介護職として定着できるのか?

これは永遠に残る課題だと思われます。

 

「今までは日本に慣れようと頑張ってきましたが、インドネシアのことも忘れてはいけないと強く思うようになりました」との声もあり帰国する人もいます。

 

割合としては少数ですが、母国での介護を目指す人が出るのは当たり前で自然なことでしょう。

 

一方「地震も原発も怖いけど、親切にしてくれたお年寄りを見捨てられない」と、フィリピンの家族からどんなに帰国を勧められても日本に留まる人もいます。

 

こういった人たちが増えてこそ、介護業界を支えていくという本来の目的が達成され、双方にとって意味のある施策となるのではないでしょうか?

 

まとめ

介護福祉士・坂野介護福祉士・坂野

人手不足が叫ばれて久しい介護業界ですが、何より優先してほしいのは「今現在、現場で働く介護士の待遇改善」ではないでしょうか?

介護への強い想いがあっても、現実に打ちひしがれ去っていく介護士もたくさんいます。

まずは介護士が現場で生き生きと働く姿を増やすこと、それこそが一番需要な気がしてなりません。